「酒田五法」ローソク足/組み合わせパターンは重要/FX初心者の失敗回避!
酒田五法/さかたごほう、は江戸時代に本間宗久が考え出した、ローソク足/キャンドルアクションによる、マーケット展開の可能性をイメージする考え方で、現在でも機能します。
江戸時代のイメージですので、基本的には日足での考え方になりますが、スウィング・デイトレでもその考え方は十分機能し、役立ちます!
ローソク足は自身のトレードプランを考える上で基礎的ではありますが非常に重要な要素になりますので、それぞれのローソク足もしくはパターンが何を伝えてくれようとしているのか、この際しっかり理解しておきましょう。
現在のインターネット上でのトレードとは別の世界と考えてしまうかも知れませんが、現在でも通用するチャート分析であり不変的な考え方です。
酒田五法は外国でも人気があり、五法の英語表現もすでに定着しています。
非常にシンプルで初心者でもイメージしやすい有効な考え方ですので、「エリオット波動」などと同様に、リバーサルや持ち合いのブレイクを判断するのに重要でトレードプランの構築には欠かせないものになります。
酒田五法は下記の5つのタイプになります。
① 三山/さんざん:三尊(さんそん)・三川宵の明星・トリプルトップ・ヘッドアンドショルダー現在でも有効なリバーサル転換のパターンです。
② 三川/さんせん:逆三尊(逆さんそん)・三川明けの明星/トリプルボトム・逆ヘッドアンドショルダー
現在でも有効なリバーサル転換のパターンです。
上記2つはエリオット波動と同じ考え方です。
「エリオット波動の基本的な考え方・パターンと効果的な使い方!」
③ 三空/さんくう:FXは24時間トレード可能ですので現れることがほとんどなく、そんなに有効ではありません。
CFDでもIndex日経225・US500なども同様に、24時間トレード可能になっているので窓開け自体が少なくなり、週明けの月曜日くらいしか窓開けはあまり現れませんので、個別株などでの応用になります。
個別株のフラッシュ・クラッシュ系の乖離からの逆張りトレーダーの方には同じイメージで有効です。下記2つは応用可能です。
特に「三法」は「三山」「山川」と併用して考えると、より効果的に展開を捉えることも可能です。
④ 三兵/さんぺい:頻繁に現れることはありませんが、ゆっくりと強いトレンドが形成される時にモメンタムを伴いトレンドを形成します。
⑤ 三法/さんぽう:トレンドフォローに有効で「押し目」「戻り」からのコンティニュエーションの典型的なパターンで、基本的には「ダウ理論」と同じです。
1.三山(さんざん)
三山(さんざん)/トリプルトップ
三山(さんざん)は、アップトレンド相場の天井トップからのリバーサルを表すパターンで、「トリプルトップ」とも呼ばれています。
パターンはあくまでもアクションをデフォルメして、シンプルに表現しているだけなので、リアルトレードのチャートでは必ずしも上記のようなキレイな形になるとは限らないということです。
マーケットは、上昇しては一時的に売られ押し目が形成され、そこからまた上昇して高値を超えていく「波」を常に形成しながら動いていくので、上記のように高値抵抗線/レジスタンスの売り圧力がかなり強い場合は、キレイな3つの「山」を形成しリバーサル転換することが多いです。
1つ目の山:高値をつけ強い下への圧力で一旦下落しリトレースし押し目となる。
↓
2つ目の山:高値に再チャレンジするが抵抗が強く、高値をブレイクできずに押し戻され「ダブルトップ」を形成。
↓
3つ目の山:更に高値に3回目のブレイクチャレンジするも抵抗線/レジスタンスラインを超えられず押し戻され「トリプルトップ」を形成。
このようなアクションの場合、上へのさらなるブレイクを諦め一旦利益確定したり、抵抗線が更に強力な他のレジスタンスと重なっていたりすると逆張りの売りも入りエネルギーが重なるので逆に一気に「ネックライン」を下へブレイクし、サポートとレジスタンスの転換が起こり大きな下落トレンドへと繋がりますので上昇トレンドから下落トレンドへ転じる可能性が高いということになります。
「三山」の3つ目の山は買いエネルギーの最後の総攻撃と言えるでしょう。
この状態になると株価は高値を目指すエネルギーがもうすでに無く、ロングトレーダーのロスカットも巻き込みながら一気に下落していきます。
上のブルーの四角の枠内でロングエントリーしたトレーダーさんのロスカットの多くが、グリーンの丸辺りのプライスになりますので、グリーンの丸枠内でロングのロスカット/売り注文が殺到しさらに大きく下落することになります。
他のパターンでも同様ですが、トップ天井やボトム底で基本的に高値/安値を超えることが出来ない場合は高い確率でトレンドが、終了し反転する可能性が一段と高くなります。
これが酒田五法の三山の考え方・イメージです。
三尊(さんぞん)/ヘッドアンドショルダー
「三山」と同じ考え方のイメージでトリプルトップの真ん中の山が抵抗線/レジスタンスラインをオーバーシュートして、抵抗線を押し上げ最後のエネルギーで買われ山の頂点になります。
チャートパターンの中でもシンプルでわかり易く目立つので、「三尊天井/さんぞんてんじょう」とも呼ばれたりします。
三尊も基本的には「三山」と同じトリプルトップの変形パターンです。
三尊は仏像のイメージから来たのではないかと言われていますが、海外でも良く知られて人間の頭と肩のように見えることから、「ヘッドアンドショルダー」と呼ばれています。
「トリプルトップ・ボトム」同様に「ヘッドアンドショルダー」も初心者に判りやすいパターンですので、海外でも人気でもう既におなじみです。
2.三川(さんせん)
三山(さんざん)/トリプルボトム
三川(さんせん)は、三度の安値更新に失敗した三山の逆バージョンで、アップトレンドへのリバーサル転換パターンになります。
海外では「トリプルボトム」と呼ばれ底割れに失敗して3つの逆山/谷を形成する考え方イメージです。
その後はリバーサル転換してアップトレンドを形成します。
下落トレンドがある程度長く続くと、割安感のロングや売り尽くされ継続の売りが続かずに徐々に買いエネルギーも大きくなってきますので、両方のエネルギーがぶつかり合い一時的なレンジが形成され底値圏/ボトムでの揉み合いが始まります。
2回目の底値ブレイクが失敗して「ダブルボトム」を形成し、さらに最後のエネルギーでもう一度底値ブレイクを試みますが、失敗し逆山/谷を形成し「トリプルボトム」を形成します。
ここでの底値ブレイクの失敗は、高い確率でリバーサル転換を起こし、アップトレンドを形成する確率が大きくなります。
逆三尊(さんぞん)/逆ヘッドアンドショルダー
「逆三尊」は、トリプルボトムの真ん中の逆山型が抵抗線/レジスタンスラインをオーバーシュートして抵抗線を押し下げ、最後のエネルギーで売られ逆山の頂点になります。
「三川」と同じ考え方イメージで、トリプルボトムの真ん中の逆山/谷が抵抗線/レジスタンスラインをオーバーシュートして抵抗線を押し下げ、最後のエネルギーで売られ逆山/谷の頂点になります。
逆三尊も基本的には「三川」と同じトリプルボトムの変形パターンです。
三川明けの明星/モーニングスター
「三山」「三川」は3つの山/逆山・谷を利用した考え方イメージでしたが、次は「3本のローソク足」を使用した考え方イメージの「三川明けの明星/アップトレンドへのリバーサル転換」と「三川宵の明星/ダウントレンドへのリバーサル転換」です。ダウントレンドからのリバーサル転換を示す「三川」のパターンです。
1ローソク目:長めの黒ローソク足/陰線でまだダウントレンド中。
2ローソク目:窓/ギャップを開けて十字線が現れると強力ですが十字線に近い小さなローソク足が形成。
3ローソク目:放れて白ローソク足/陽線を形成。
夜明けのイメージのアップトレンドへのリバーサル転買い/ロング転換です。
ダウントレンド局面継続中に小さな十字線もしくは小さなコマ足ローソクが現れ、窓を埋めるように白ローソクが形成されるとリバーサル買いの勢いが強まりアップトレンドへの転換が期待され加速されるようになります。
三山宵の明星/イブニングスター
アップトレンドからのリバーサル転換を示す「三山」のパターンです。
1ローソク目:長めの白ローソク足/陽線でまだアップトレンド中。
2ローソク目:窓/ギャップを開けて十字線が現れると強力ですが、十字線に近い小さなローソク足が形成。
3ローソク目:放れて黒ローソク足/陰線を形成。
宵闇のイメージのダウントレンドへのリバーサル転換で売り/ショート転換です。
上昇トレンド局面継続中に小さな十字線もしくは小さなコマ足ローソクが現れ、窓を埋めるように黒ローソクが形成されると、リバーサル売りの勢いが強まり、ダウントレンドへの転換が期待され加速されるようになります。
3.三空(さんくう)
三空/叩き込み
三空/さんくう、はトレーダーのパニック状態でトレードによる上がり/下がり過ぎを表すパターンです。
日本の株式市場時間だけのチャートでは前日終値と当日始値の間に差が生じる場合があります。
ただ現在ではデリバティブのCFDでも24時間取引が可能なのであまり窓/ギャップは気になりませんが、両方のチャートを前場の始まりだけでも見てみると面白いです。
前日終値よりも高く始まることを「ギャップアップ」前日終値よりも安く始まることを「ギャップダウン」といいます。
日本の個別株の場合、株式市場が終わってから業績予想の修正が発表されたり、ヨーロッパ市場での動向や特にアメリカのマーケットの動向にはほとんど同期しますので、その影響も受けて次の日はギャップアップ/ダウンしてスタートすることが多いです。
ギャップアップ・ギャップダウンの際に生じる差が、「窓」になります。
「窓/ギャップ(酒田五法では空)」は、株式投資のチャート分析ではとても重要な要素なので株式をトレードサれる方は必ず押さえておかなければならない重要なポイントになります。
また逆にFXだけのトレーダーさんには、あまり必要ないでしょう。
酒田五法の「三空」は、ローソク/キャンドルが3つの窓/ギャップ(空)を連続して付けたら、マーケットのリバーサル転換のサインになるという考え方です。上昇時の三空は「三空踏み上げ」になります。
下落時に3回連続で、窓/ギャップが発生しダウンの勢いが非常に強く、ロングのロスカットを巻き込みながら、投げ売り状態になってる売られすぎのパニック状態です。
株式では、基本的に窓が開いたら窓埋めの転換パターンがありますが、このパニック状態も同様にリバール転換の売られすぎからの、アップトレンド転換が期待されます。
売りのバイアスのかかった売られすぎから、売り残も消化され上値に重さもないので上昇に転じるのは、不思議なことではありません。
窓/ギャップ埋め後は上昇トレンドへ向かって買いエネルギーが増加し、パニックショートのロスカット/ショートカバー(買いオーダー)も巻き込みながら、大きく上昇していきます。
三空/踏み上げ
上昇時に3回連続で窓/ギャップが発生しアップの勢いが非常に強くショートのロスカットも巻き込みながら上げ上げの状態になってる買われすぎのパニック状態です。
買いのバイアスのかかった買われすぎから、買い残も消化され下支えもなくなっ液ているので、下落に転じるのは不思議なことではありません。
窓/ギャップ埋め後は下降トレンドへ向かって売りエネルギーが増加し、パニックロングのロスカット/売りオーダーも巻き込みながら、大きく下落していきます。
極端に強いトレンドの場合、「四空・五空・六空」も平気で出てしまうのが現実の株式市場です。
注意しなければならないのは、「三空叩き込み」「三空踏み上げ」も他のパターンも同様に、パターント名前のついているものは、トレードの世界ではイメージ通りに動き始めてもプラン通りに動くとは限らないことも多い、ということを常に念頭に置いて、常に逆に動いた場合の「プランB」をいつでも執行できるように準備しておくことが求められる世界ですので、肝に銘じておいてください!
そうしないと、大きな致命的ダメージを被ることもあります。
そのような観点から初心者の方はまずは、トレンドフォローのチャート分析などのテクニカルから勉強して、ある程度実績が出ることを確認してから、リバーサル転換や「逆張り」は始められても遅くは煮と思いますのでオススメいたします。
4.三兵(さんぺい)
三兵とは、陽線/ここでは白、か陰線/ここでは黒が3本連続並行して階段状になっている、場合をいいます。
陽線の3連続が「赤三兵」、陰線の連続を「黒三兵」または3羽のカラスに見えることから「三羽烏」、といいます。
いずれも力強い動きを示すローソク足の形状で、マーケットのリバーサル転換や強い継続を示す事が多いです。
赤三兵/スリー・ホワイト・ソルジャーズ
赤三兵/陽線3連続赤三兵は、窓/ギャップをつくらず確実に切り上げているパターンで、上昇トレンドの可能性があります。
底値圏で形成されると、リバーサルアップトレンド転換/下落トレンドの終了。
高値圏で形成されると極めて強い上昇/ただし三空や長い上ヒゲには要注意!
※ギャップアップを伴う連続陽線は、三空/行き過ぎによる売りシグナルにもなりますので、必ずしも買いエントリーすべきタイミングではないということに要注意。
下記エリオット波動の説明では、赤四角枠内で現れると強力なサインになります。
黒三兵(三羽烏)/スリー・ブラック・クロウズ
黒三兵/陰線の連続
黒三兵は、窓/ギャップをつくらず確実に切り下げているパターンで、下降トレンドの可能性があります。
- 高値圏形成されるとリバーサルダウントレンド転換/上昇トレンドの終了
- 安値圏で形成されると極めて強い下降/ただし三空や長いいしたヒゲには要注意!
※ギャップアップを伴う連続陰線は三空/行き過ぎによる買いシグナルにもなりますので必ずしも売りエントリーすべきタイミングではないということに要注意。
下記エリオット波動の説明図では、黒四角枠内で現れると強力なサインになります。
5.三法(さんぽう)
上げ三法/アップトレンド押し目
三法/さんぽう、は「押し目」「戻り」からの復帰を売買シグナルとする酒田五法の一つです。
上昇のローソク足チャートでは、三兵のように連続陽線で上昇していくこともありますが、大抵は上がっては一時的な「押し目/プルバック」を形成し、もう一度上がって高値を更新しては「押し目/プルバック」を形成という波を描きます。
ダウ理論の「N字」も、エリオット波動の「N波動」もエリオット波動の「エントリーポイント」も、これが重要なキーになりますので、まずは初心者トレーダーさんはこれを意識してトレードすると負けにくいトレードが見えてきます。
アップトレンドにおいて大きな上昇の後や、一時的な下げ止まりや「押し目/プルバック」トライアングル、フラッグなどの保ち合いパターンが起こり、そこからもう一度安値を切り上げ高値を上に抜けたら買シグナルとなります。
上げ三法は、大きな陽線/白の後に3つ「はらん」で「最初の大きな陽線より下に行かない」ことが最重要で、次にまた大きな陽線が形成され新しい上昇を期待します。
下げ三法/ダウントレンド押し目
ダウントレンドでは大きく下落した後、一度は小さな「戻り/ラリー」や一時的な下げ止まりやトライアングルやフラッグなどの保ち合いパターンが起こり、そこからもう一度高値切り下げ安値を下に抜けたら、売りシグナルとなります。
下げ三法は、大きな陰線/黒、の後に3つ「はらん」で「最初の大きな陰線より上に行かない」ことが最重要で、次にまた大きな陰線が形成され新しい下降を期待します。
初心者の方が、間違って大損をする代表的なパターンが、ここで逆にロングをしてしまうトレードなので、こうした一時的な下げ止まりは「酒田五法の三法」の可能性がありトレードの継続/コンティニュエーション、であることを意識する必要があります。
※経験を多く積んだトレーダーさんは、初心者の損切り/ロスカットポイントが本来のエントリーポイントである事もよく理解していてトレードしていますから、優位性をいつも持ち有利なトレードをしているのです。
「三法」は、売り買いが拮抗して一時的な下げ止まりやトライアングルやフラッグなど「方向感が見えない」エリアに現れる事が多いので、ここを攻略できればトレードが大きく成長しますので、時間を掛けて理解できるまでよく考えましょう。
まとめ
テクニカル裁量トレードではチャート分析が全てですが、基礎となる一番重要なローソク足の見方の一つが「酒田五法」になります。
テクニカル分析には色んなアプローチがありますが、その中でもシンプルで現在のリアルなプライスも表示するローソク足/キャンドルは普遍的で色んなパターンは応用利用範囲も広くチャート分析のコアであることは間違いありません。
水平ライン・トレンドライン・チャネルラインは、どれもローソク足/キャンドルを元に引かれたラインでこれらも機能しますが、ローソク足のレジスタンス・サポートとしての役割もいます持っています。
更にサブウィンドウのインジケーター・オシレーターも、やはりローソク足/キャンドルのサポート的な役割がメインです。
MAはローソク足の平均値になりますので、遅延データではありますが、ローソク足/キャンドルとの絡みでチャート分析のトレンドやモメンタム、レジスタンス/サポートなど、他のインジケーターより多くの機能を有しています。
水平線の中でも「フィボナッチ・リトレースメント」と「フィボナッチ・エクスパンション」「Pivot」は、数少ない先の到達点を予測できるインジケータですので、「酒田五法」と併用することでさらにその機能を高めることが可能になります。
初心者の方は、覚えることがたくさんあるので大変ですが、上記を一通りリアルトレードでもトライ&エラーを繰り返し経験して、それぞれの一つの機能ではなかなか判断できなかったことが、全知識をシンプル化し点と点が繋がり一元化することでマーケットの全体像が見え始めてきますのでそれまで洗練して頑張りましょう!